
2026年9月25日
四国地区
愛媛大学 工学部
気候変動によって世界中で異常多雨が発生し、河川では以前よりも大規模な出水(増水)が頻繁に起こるようになっています。経験したことのない出水にさらされることにより、河川の生物は生活しづらくなることが心配されています。河川生物は、食料やレクリエーションの対象として、人間の生活と深く関わっています。このため、河川生態系の保全では、出水激化の影響を弱める方法を開発することがもとめられています。
このためには、まず、大規模な出水が起こると生物の数や多様性がどのように変化するかを知る必要があります。ただしこれは簡単ではありません。なぜなら、出水はいつ起こるかを予測することがむずかしいためです。しかし、出水が起こった直後に調査をしたり、昔のデータを活用したりすることで、最近では少しずつ生物の反応についての情報が増えつつあります。
私の研究室では、愛媛県を流れる重信川で、2017年に発生した戦後最大の出水の前後に生物調査を行いました(図1)。この結果、主に水生昆虫や甲殻類、貝類などで構成される底生動物の数が出水後に1/10程度に減り、多様度(分類群数)も1/2程度まで低下することが明らかになりました。魚類についても、川底にすむ底生魚が出水後にはほとんど見られなくなりました。
これまでの研究から、出水が激しくなると河川生物の数はいちじるしく減り、多様性も低くなってしまうと予想されます。では、それを防ぐためにはどのような方法があるでしょうか?そのヒントは、同じ重信川での研究の中にありました。川の中の、出水が起こってもあまり流れが強くならない場所では、出水直後にもかかわらず魚の数が増えていたのです。どうやら強い流れを避けて逃げ込んでいたようです。
このような、出水の影響を避けられる場所のことを、「避難場所」といいます。大きな岩の裏側や川岸の植物の間、流れの横にある水たまり(ワンド)などが代表的な川の中の避難場所です(図2)。ただし現在、多くの川は洪水を防ぐために単純な形に変えられており、昔よりも避難場所は少なくなってしまっています。今後は、いま残っている避難場所を保全するばかりではなく、人の手によって再生することにより、気候変動による出水激化の影響を緩和することが期待されています。
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