
2026年9月4日
東北地区
弘前大学 理工学部
近年、天然骨材の採取制限や資源循環への関心の高まりを背景に、コンクリート材料への再生資源の活用が求められています。一般廃棄物由来の溶融スラグについては、2006年にコンクリート用骨材としてのJIS規格が整備され、利用が進められてきました。一方で、産業廃棄物由来の溶融スラグはJIS規格の対象外であり、コンクリート材料としての研究例はまだ多くありません。
そこで本研究では、産業廃棄物由来の溶融スラグをコンクリート用細骨材として利用することを目的とし、モルタルおよびコンクリートの強度特性について検討しました。
本研究で使用した水砕スラグは、産業廃棄物を1200℃以上で溶融した後、水中で急冷固化して製造されたものです。その外観を図1に示します。なお、有害物質の含有量およびJIS A 5031で規定される化学成分を確認した結果、表1に示した通りに、いずれも基準値以下であることを確認しています。
モルタル試験では、細骨材の一部を溶融スラグで20%および30%置換した供試体を作製し、圧縮強度試験を実施しました。モルタルの配合を表2に、試験結果を図2にそれぞれ示します。溶融スラグを混入したモルタルは、天然細骨材のみを使用した場合よりも高い圧縮強度を示す傾向が確認されました。また、置換率20%の場合が最も良好な結果を示し、30%ではやや強度が低下する傾向がみられました。
研究グループは、その要因として以下を考察しています。
コンクリート試験では、細骨材重量の20%を溶融スラグで置換した配合を対象としました。コンクリートの配合を表2に示します。施工時の実条件を考慮し、材料投入順序を変化させた複数のバッチにより検証を行いました。その結果、表3に示した通りに、すべての試験条件において設計基準である呼び強度30N/mm²を満足することが確認されました。研究結果から、溶融スラグを利用したことによる強度低下は実用上問題のない範囲であると評価されています。
本研究成果を踏まえ、溶融スラグを混入したコンクリートを用いた鉄筋コンクリート(RC)擁壁の試験施工が実施されました。試験施工したRC擁壁の状況を図3に示します。施工性や出来形は通常のコンクリートと同等であり、実施工への適用可能性が確認されています。また、現在は乾燥収縮などの耐久性に関する検討も進められており、将来的にはコンクリート二次製品やプレキャストコンクリート部材への応用も視野に入れられています。
産業廃棄物由来の溶融スラグを細骨材として用いたモルタルおよびコンクリートは、十分な強度性能を有し、実用材料としての可能性を示しました。天然資源の節約や廃棄物の有効利用を同時に実現できる技術として、循環型社会の形成に貢献することが期待されます。
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