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生レポート!大学教授の声

 

生命歴史と次世代の製品開発

 
2012年9月18日
香川大学 工学部 材料創造工学科
掛川 寿夫

生命歴史と次世代の製品開発

地球上の歴史において、いつどんな物質が誕生し、生命がどのように進化していったのか。この化学進化にこそ、病気発生のしくみやエイジング(老化現象)の原因が隠されています。今、地球上で起こっている環境問題も、すべて化学進化という壮大な歴史をたどることで理解できるのです。地球と生命の起源とも言える化学進化をたどり、そこから発想した機能性食品、化粧品、医薬部外品などに利用できる機能性物質の開発は、私が専門とする研究の1つです。環境と生命現象を1つのフィールドととらえ、さまざまな研究課題に取り組める魅力的な分野だと思います。

近年、企業利益を優先するがゆえに、多くのニセ科学が横行しています。特に、機能性食品、化粧品、医薬部外品化粧品の分野では、エイジング対策のための機能性成分として、ヒアルロン酸、コラーゲン、植物エキス、発酵エキス、ナノプラチナ等の成分を配合した多くの製品が市販されています。しかし、これらの多くは、科学的な根拠が疑わしく、真実の科学をベースに開発された訳ではありません。

約30億年前、シアノバクテリアなどの光合成により、酸素分子が地球上に登場しました。その後に誕生したミトコンドリアは、この酸素を用いて呼吸することにより、大量のATPを生産する技術を獲得しました。酸素は、呼吸に不可欠ですが、一方では、生体分子を酸化させる毒でもあります。特に、不飽和脂肪酸は、酸素や活性酸素により酸化され、過酸化脂質やアルデヒドを生成します。これら過酸化脂質やアルデヒドが、エイジング、癌(がん)、生活習慣病などの原因になります。これら過酸化脂質やアルデヒドの生成を抑制するのが、抗酸化ビタミンや酵素などです。また、植物では、多くのポリフェノール類もその役割を担っており、ILG(イソリクイリチゲニン)もその1つでした。詳細な研究により、ILGには、抗炎症作用、血小板凝集抑制作用、抗アレルギー作用等のアンチエイジングにとって有用な生理機能を持つことも確認され、最近、このILGを配合した真のエイジング対策化粧品を開発することができました。

地球上で誕生した化学物質についての真の生物学的機能、化学的性質、生体内での代謝等を学び、正しい知識として活用することにより、本物の製品を生み出すことができます。香川大学工学部は、それを実践できる学問と研究の場所です。明るい未来を築くために、大きな志を持って、大いに学び、大いに研究しましょう。

※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。

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