私がエネルギー問題について考え始めたのは中学生のときでした。中学生の私は、顔面から出る脂の量が人一倍多く、とめどなく溢れるこの脂が石油の代わりとなって枯渇問題を止められるのではないかと、当時は本当に真面目に考えていました。そして月日が経って、私は岐阜大学工学部応用化学科(現:化学・生命工学科)へと進路を決めていました。
大学入試の前日に東日本大震災が起こり、原子力発電を推進してきた日本のエネルギー事情は大きな転換点を迎えることとなりました。大学の授業では、原子力に頼らず、かつ、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を排出しないエネルギーについて考える機会が多くなり、それはこの時代に入学した私たちの大きな使命であるかのように思えました。
そこで私が出会ったのは、BTL(Biomass to Liquid)という技術でした。木の廃材などの「バイオマス」と呼ばれる原料から、軽油などの液体燃料を作ることができる技術です。バイオマスは生成過程において植物の光合成により空気中の二酸化炭素を取り入れるため二酸化炭素の排出がないと考えられている点、また、廃棄物を燃料として活用でき、現在使われている車両や船、飛行機のエンジンなどにそのまま導入可能である点に必要性を感じ、4年生のときに研究テーマとして選びました。実用化には様々な課題があり、実用化しないのではないかと挫けそうな日も何度もありました。それでも諦めずに研究を続けられたのは、いつかこの技術が絶対に世の中に必要とされると思っていたからです。
大学院の環境エネルギーシステム専攻に進んでからは、さらにエネルギーに関する専門的な授業が多くなり、研究の幅が広がりました。私は、GU-GLEE(グローバル環境・エネルギーコース)という、授業を全て英語で受けるコースへの在籍を希望し、海外と技術を発信・受信する英語力や考え方を身につけることができました。マレーシアへ1か月半のインターンシップを行い、海外でもBTLが研究されていることが私のさらなる励みとなりました。
現在、私はBTLの共同研究を行っていた企業に就職し、研究を続けています。大学の研究は企業との共同研究になることも多くあり、ただ勉強のためにする研究ではなく、社会に必要な技術を作る研究ができます。これからの技術を作りたい人が工学部に入学してくれることを期待しています。
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私たちが考える未来/地球を救う科学技術の定義 | 現在、環境問題や枯渇資源問題など、さまざまな問題に直面しています。 これまでもわたしたちの生活を身近に支えてきた”工学” が、これから直面する問題を解決するために重要な役割を担っていると考えます。 |