工学部ってどんなところ?
Facebook
化学発光(ケミルミネッセンス)

化学発光(ケミルミネッセンス)

Pict-Labo~写真と動画で科学をのぞく~

数理工学の世界にようこそ-数学のFXへの応用-

2018年10月19日|熊本大学 工学部
「図1 北研修士学生松隈泰星君作成」「図1 北研修士学生松隈泰星君作成」

数理工学ってどういう分野だろう?…数理工学とは、工学を含む様々な分野-機械工学、制御工学、情報工学、電気工学、電子工学、土木工学などの工学分野から金融、保険、経済、経営などの文系・社会科学の分野?!)まで-を数学的視点をもって考察し、より理論的かつ合理的な実践を図ろうとする分野です。熊本大学工学部・機械数理工学科・数理工学教育プログラムの北直泰研究室では、FXという経済活動に対しての研究を行っています。具体的には、コンピュータによるFXの自動取引を行うためのアルゴリズムを作成しています。

「図2 FXの仕組み」「図2 FXの仕組み」
「図3 アップ・ダウンの規則」「図3 アップ・ダウンの規則」
「図4 比率の規則」「図4 比率の規則」
「図5 Elliott 部分波」「図5 Elliott 部分波」

 FXとはForeign eXchangeの略語で、二国間の通貨を売買して利益を得ようとする行為である(図2参照)。これまでのFXの研究では確率論が使われてきたが、北研究室では確率論を使わずに、「Elliott波動の原理」と呼ばれる、より的中率の高い原理を用いてレートの変動を予測しようとしている。「Elliott波動の原理」とは、通貨価値の変動に現れる規則の総称である。

 (規則1:アップ・ダウンの規則)外貨価値は上下に変動しながら上昇または下降する(図3参照)。これらの変動する波の組合せを「Elliott波動」と言う。
(規則2:比率の規則)外貨価値はほぼ一定の比率で変動する(図4参照)。
(規則3:フラクタル構造の規則)変動する波の組合せを拡大すると、そこに「Elliott部分波」と呼ばれる小さなElliott波動が観測される(図5参照)。

 そこで、上述したElliott波動の原理の規則1~3を数式化し、以下の大雑把な手順1~3により「Elliott部分波検知プログラム」の作成を試みている。

手順1:外貨価値の変動を"上述の規則1~3を可能な限り満たす折れ線で近似"する。
手順2:手順1の折れ線の近似精度を過去のデータを調査して判断する。
手順3:Elliott波動の変動を感知して、以降の外貨売買で利益を生み出す

 手順1で外貨レートを精度良く近似する折れ線の見つけ方は数学的に与えられる。外貨変動を表す関数を とし、折れ線を表す関数を、ただしグラフは,点 (0≦ ≦8)で折れ曲がっている、としたときに、

 で与えられる量が最小となるような を見つければよい。そのために、漸化式

 を解くためのプログラムを作成する。ただし、は点で折れ曲がっている折れ線関数で、s>0は第n項からn+1項へのステップ幅を表す。nがある程度大きくなると、を最小化する折れ線関数が定まり、これが外貨変動を良く近似する折れ線を与える(トップ画像の図1)。

 上の漸化式の意味を理解する(漸化式を立てる)ためには、大学数学で習う(偏)微分、(重)積分やベクトルの勾配の意味を理解する必要がある。

※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。