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電子顕微鏡で観察するミクロな試料を“触る”マニピュレータ

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マニピュレータ

Pict-Labo~写真と動画で科学をのぞく~

未来材料としての高分子

2018年9月14日|三重大学 工学部

高分子というとプラスチックスや繊維を思い浮かべる人が多い。実際、いろいろな形に成型できる高分子は、私たちの身の回りに数多く存在し、私たちの生活を支えている。一方で、電子機能や光学機能を持った高分子が注目されている。そのような高分子の一つがπ共役高分子と呼ばれているものである。紫外線や電場に応じて可視光を発光したり、ガラスなどの無機材料とハイブリッドを形成したり、磁性体と複合化することで磁石に吸い寄せられる液体になったり、多くの可能性を秘めた未来材料として注目されている。

 π共役高分子は、炭素―炭素二重結合と炭素―炭素単結合が交互に結合した化学構造を有している。このような高分子の中には、紫外線を照射することで、可視光を発光するものがある。写真に示したのはポリフルオレンという高分子の溶液に暗所で紫外線を照射したものである。青色から赤色までの可視光が観測される。このような高分子は、フルカラーの有機EL材料として、平面ディスプレイに応用することが可能である。特に、高分子系有機EL材料は、塗布やインクジェット法による薄膜化やパターニングが容易なので、大型の平面ディスプレイ材料として期待される。

 また、このような発光高分子を無機材料であるガラス(シリカ)とハイブリッド化することで、バルク体、薄膜、球状微粒子などのさまざまな形状を有する発光体へ誘導することができる。その一例を写真に示した。高分子の発光特性を保持したまま、堅牢な透明無機材料とのハイブリッドが得られている。球状微粒子形態を有するハイブリッドの場合、LEDの蛍光体として利用することで、高い演色性を有する白色発光を実現することもできる。高分子系有機蛍光体を用いることで、太陽光スペクトルに類似したスペクトル特性を有する照明材料が得られるという点が期待される。

 一方、π共役高分子を磁性ナノ粒子の安定分散剤として利用することで、磁性流体と呼ばれる磁石に吸い寄せられる液体を得ることもできる。光学機能と磁気的性質をあわせもつ新しい機能性複合材料として興味深い。

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