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写真や絵画の中の水を動かす技術

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Pict-Labo~写真と動画で科学をのぞく~

マイクロスフィア・スクリーニング

2017年4月21日|鹿児島大学 工学部
マイクロスフィア・スクリーニング

特別な機能を持った微生物を環境から選び出すことをスクリーニングと呼びます。地球上には様々な環境があり、我々の住んでいる温暖で酸素が豊富で食物が手に入れやすい環境とは全く異なる過酷な条件の環境がたくさんあります。そんな環境にも微生物が住んでいて、地中からの火山性噴出物を利用して呼吸するものもあれば、極低温や極高温の環境に耐えて、あるいは強い酸や塩基を含む環境に耐えながら、わずかな栄養源を工夫して分解してエネルギーを得る微生物が実際に存在しています。このような極限環境微生物の中には、物質変換の過程で水素ガスやメタンガスなどの可燃性ガスを放出する微生物がいるため、それらの微生物を利用すれば、廃棄物や有用性の低い有機物などから、容易に燃料になるガスを生産することができるようになるに違いありません。

そんな微生物をスクリーニングするため、ひとつひとつの微生物を個別に住まわせる小さなガラスの容器を作り、ガスを生産する能力がある微生物だけが、その容器の中で自身の作り出したガスの浮力のために容器ごと浮上してきて分離される、というしくみを作りました。この直径約0.05 mmの培養容器をその形からマイクロスフィアと呼び、これを用いた燃料ガスを生産するスーパー微生物を見つける方法をマイクロスフィア・スクリーニングと名付けました。

マイクロスフィア・スクリーニング

動画作成
工学部 化学生命工学科 准教授 上田 岳彦

どうやって撮影するの?

小さなマイクロスフィアを立体的に明暗をつけて撮影するために、高エネルギーの電子をぶつけて跳ね返ってくる電子の数を測ってその大小で明暗を付けた画像を撮影することができる、走査型電子顕微鏡を使いました。明暗が正確に形を反映するように、全体を薄く炭素コーティングしてから観察しました。作製したマイクロスフィアはガラス質の無機材料でできており、球形で、中身がくりぬかれた金魚鉢のような形をしています。写真では、マイクロスフィアに青い色をつけて表現しています。右上はその視野の一部を原寸の1000倍に拡大したものですが、一箇所に穴が開いており、中空であることが見て取れます。表面に多少つぶつぶが見えているのは、特別な光学機能を持たせるために施した金属コーティングです。

動画が示すのは、小さなマイクロスフィアに入れられた微生物(緑色)がガス(青色)を放出して泡を形成し、その能力が高いものから順番に浮上して分離されていく様子を模式的に表したCGです。マイクロスフィアの容積、穴の直径とガスの放出速度のバランスにより、ガスが内側で泡になるかどうかが決まります。ちょうど微生物の大きさの数倍程度の小さな容器を用意することが必要であり、それを実際に作り出していく高度な技術が必要でした。

撮影に使用したもの

  • 超高分解能分析走査電子顕微鏡(Hitachi SU-7):
    JAXAの探査機「はやぶさ」が小惑星イトカワから持ち帰った試料も同じ原理の走査電子顕微鏡を使って分析されました。
  • マイクロスフィア(直径0.05 mm、金属コーティングしたガラス製の中空容器):
    様々な極限環境を模した培養条件でも材料が耐えられるように、ガラスと金属でできたマイクロスフィアが必要でした。

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