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授業紹介

工学部で生物実験?!-化学バイオ工学の基礎として

 静岡大学工学部では平成25年度の改組により、「化学バイオ工学科」という新しい学科が発足しました。これまでの「物質工学科」における「化学をベースとしたものづくり」というコンセプトに生物が加わり、生物工学と化学をうまく融合させた新しい教育と研究を目指しています。これまでは全ての学部2年次に「物理・化学実験」が開講されていましたが、学科改組に伴い、化学バイオ工学科バイオ応用工学コースでは「化学・生物実験」が開講されています。今回はその生物の部について紹介します。

 工学部で生物実験を行うわけですが、これが少々大変です。学生たちのほとんどが高校で生物を履修していません。大学での講義においても、本実験と並行して開講されている「生物学IおよびII」でほとんど初めて本格的に生物学に触れることになります。近年の生物学は目まぐるしい進歩を遂げており、いきなり理・農学部の学部生と同レベルの生物学を教えますと、ほとんどの学生が着いて行けなくなり、興味も生まれません。ですので、講義ではこれまでのノーベル賞受賞者の紹介と、それらを理解するための基礎生物学を平易に解説しています。「化学・生物実験」では講義と出来るだけ連動させ、学生が生物学に興味を示すような内容、かつ3年次の専門実験に必要な技術を習得してもらうように工夫しています。(1)食品中の微生物の培養と観察、(2)アルコール発酵と酵素的定量、(3)植物細胞の観察とプロトプラスト融合、(4)大腸菌からのプラスミドの単離、というテーマについて、週1回、7週間にわたって実験を行います。(1)では納豆やヨーグルトなど、身近な発酵食品から微生物を培養し、顕微鏡観察を行います。(2)では酵母のアルコール発酵を行い、発酵液中のアルコールを酵素法により定量します。(3)では色々な野菜からプロトプラスト1を作成し、異種プロトプラスト間の融合を試みます。(4)では大腸菌からプラスミドDNA2を抽出することを試みます。

 学生は皆、化学実験を終了してから本実験に挑みますので、最初は生物実験特有の曖昧さ、待ち時間の多さ、に戸惑う学生が多いですが、毎年最後の方では楽しみながら実験を進めてくれるようになります。

注)

1: 植物細胞の細胞壁を酵素で温和に分解した後の丸裸の細胞

2: 生命に必要なゲノムDNA以外に細菌が持っている環状の小さなDNA。遺伝子工学のツールとなる。

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