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おもしろ科学実験室(工学のふしぎな世界)

泥水をキレイにしてみよう!

2018年3月9日
広島大学工学部第三類 化学工学講座

 私たちが毎日使っている水道水は、浄水場で川や貯水池などの水からつくられます。下の図は広島市の浄水場で行われている水の処理の流れです。とくに、赤い四角で囲んである部分は「濁った水から化学的に処理をしてキレイな水をつくる方法」です。ここでは、浄水場で実際に行われている水の処理について、簡単な実験を通して勉強してみましょう。

用意するもの

  1. 泥水
    水に土を混ぜて数時間放置したあと、上澄み水を透明の容器に移しておく。
  2. ミョウバン水
    薬局で販売されているミョウバン 5 gを水150 mLに溶かしておく。
    ミョウバンは「焼ミョウバン」でも良く、粒状でも粉状でも良い。
    (参考) ミョウバンを水に溶かすときは、お湯のほうが溶けやすい。お湯を使う場合はミョウバンが溶けたあと、放置して冷ましておく。
    (出典:ミョウバン水の作り方を写真つきで~レシピと保管方法~https://asekaki704.com/goods/deodorant/354/)
  3. アンモニア水
    薬局で販売されているもの。
  4. 透明の容器
    透明なプラスチック製のカップでもよい。
  5. 計量できる道具
    計量カップ、秤、大さじなど。
  6. 水を混ぜるための道具
    スプーンや割箸など。

実験

  1. 泥水 500 mLに対して、アンモニア水を30滴加えてよく混ぜる。
    (参考)アンモニア水30滴は1 mLくらい。
    もしくは1 gでもよい。

  2. 1にミョウバン水 30 mLを加えて、すぐに、よく混ぜる。

  3. 静置して観察する。泥水の濁りが沈殿して水が透明になる。

注意点
  • 実験後の上澄み水は、決して飲まないこと。
  • アンモニア水が眼に入らないように注意すること。万一、眼に入った場合にはすぐに、水またはぬるま湯で洗うこと。症状が重い場合には、直ちに専門医の処置を受けること。
  • アンモニア水の蒸気を吸引しすぎないよう注意すること。
  • 焼ミョウバンまたはミョウバン水を引用しないこと。万一、口に入った場合にはすぐに、水またはぬるま湯で洗うこと。

しくみ

泥水がキレイになったしくみについて考えてみましょう。

  1. 泥水の中には様々な大きさの粒子が存在しています。粒子はその直径や密度が大きいほど沈降しやすくなりますが、逆に小さい粒子(微細粒子)は沈降しにくく、時間がかかります。

  2. もし、粒子の大きさを大きくすることができれば、どうでしょうか。粒子を集めて大きなかたまり(フロック)をつくることができれば、微細粒子でも沈降させることができます。しかし、自然界に存在する微細粒子は一般にマイナスに帯電しているため、粒子同士が反発しあってフロックをつくることはなく、水の中を浮いたままの状態が続きます。

  3. そこで、この実験では、プラス荷電をもつミョウバンを利用して微細粒子を引き寄せてフロックをつくることができました。これは、泥水中の微細粒子のマイナス荷電がミョウバンのプラス荷電によって中和され、くっつくことでフロックになっています。これを凝集といい、ここで使われるミョウバンは凝集剤と呼ばれます。

  4. また、ミョウバンを泥水に加えたあとに良く混ぜる(かく拌)することでフロック同士も凝集させて、より大きなフロックとして沈降させることができます。

この実験のように粒子を沈める方法は凝集沈殿法と呼ばれ、実際に用水処理や排水処理で行われています。実際に使われる凝集剤には、無機性の硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硫酸鉄、塩化鉄などがあります。フロック同士を凝集させるために、高分子(ポリマー)凝集剤を使用する場合もあります。しかし、凝集沈殿法だけでは完全に粒子を除くことが難しいです。そのため、通常は凝集沈殿のあとにろ過をすることで、より粒子の少ないキレイな水をつくっています。

もっと知りたい人へ

この実験と関係のしくみをもっと知りたい人は、

をご覧ください。

※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。

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