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おもしろ科学実験室(工学のふしぎな世界)

「プラズマボール」と電気に繋いでいない蛍光管の点灯実験

2017年12月15日
静岡大学 工学部

「プラズマボール」という科学教材が売られております。これは、元々は美しいインテリアや照明器具として開発・発売されたものですが、現在は主として科学教材として使われており、Amazon(https://www.amazon.co.jp/)等でも千円~数万円程度で簡単に手に入れることが可能です。科学館等で大型の物を見たり触ったりしたこともあるかもしれません。

「プラズマボール」はガラス球の中の空気を抜いて、代りに低圧のネオン、アルゴン、キセノン等の混合ガスが封入されております。ガラス球の中央にあるボール状の金属の部分に内部の高周波発振器で生成させた高い周波数の電圧をかけると、ガラス球の中の気体が電離してプラズマがつくられます。気体は通常の状態では電気を通さない絶縁物ですが、プラズマ状態では導体となって電気をよく通します。「プラズマ」とは中性ガスが電離してイオンと電子に電離した状態のことを言います。

 プラズマ中を電気が流れるとき、電子が気体の分子やイオンに当たって気体特有の光を発します。これが放電光です。気体の種類や電圧によって放電の色や様子が変わります。ガラス球に手を近づけると、手がちょうど避雷針の役目をして、その部分に高周波の電気が集まり、それに伴って光の流れもそこに集中してきます。

 内部の球状電極にはわざと凹凸が付けられており、高い周波数の電圧を加えると表面の何箇所かで電界が大きくなる部分が出来て、そこから放電がスタートします。放電してプラズマが出来ると、それが電線の役目をしてプラズマの先端部まで高周波電圧を伝えます。そして、その先端部で放電が進行してガラス球の表面に達するまでプラズマが伸びてゆきます。プラズマは「不安定性」と呼ばれる現象でふらふらとガラス球の中を動き回ります。

「プラズマボール」の一番代表的な形状は上の写真の様な球状の物ですが、今では下の写真の様な多数の種類の様々な形状の物が作られております。

「プラズマボール」は内部のプラズマの動きに伴う光の振る舞いを見たり、手に近寄ってくる様子を観察したりするだけでも興味深いものですが、「プラズマボール」を使って様々な実験をすることも可能です。

 照明に使われる蛍光管は通常は蛍光灯の器具に取り付けて電気を流すことにより点灯します。これは、印加された電気によって内部の水銀ガスが放電して電流が流れてプラズマ状態となって表面の蛍光物質を光らせることにより明るい光を発します。

 その蛍光灯に用いる普通の蛍光管をプラズマボールに近づけるだけでも蛍光管が点灯します。全体を明るく光らせたいのならば、蛍光管の片端をプラズマボールに近づけて、もう一方の端を手で持つとうまく光ります。蛍光管の途中を手で持つとそこの途中までが光ります。もちろん、プラズマボールの電源を切るとプラズマの光は消えて、蛍光管も光りません。

 これは、プラズマボールでプラズマを作るために用いられている高周波の電気が少しでも流れやすい方に向かう性質があるので、まずは蛍光管の所に集中しそこを流れて手を介して人間の体から大地に流れていくからです。その時に蛍光管内部のガスを電離してプラズマ状態にして、電気を繋いでいないにも関わらず蛍光管を点灯させるわけです。

 したがって、同様の放電のメカニズムで点灯させるネオン管やクルックス管を近づけても、内部のネオンガスがプラズマとなって電気を繋いでいないにも関わらず明るく点灯します。しかし、その様なガスが封入されておらず放電ではない原理で光らせる白熱電球やLEDではいくらプラズマボールに近づけても光りません。

 この様な原理で蛍光管が光りますので、上記の実験を行う時には、人間の体に高周波の電気が流れることになります。それで感電しないのでしょうか。幸いなことに、高い周波数の電気は物の表面だけを流れる物理的な性質がありますので、人間の体の内部には入り込まず感電しません。ですから、プラズマボールに触ったり、蛍光管を点灯させたりする実験を行っても「びりっ」とくることはありません。ただし、ペースペーカー等を使っている人は、携帯電話等と同様にそれらの機器へ悪影響を及ぼす可能性がありますので、触らないようにする注意が必要です。

 このような実験は、簡単にプラズマの様子を観察したり、電気(電磁波)の流れを実感できたりしますし、何にも繋がれていない蛍光管が空中で光る印象的な実験ができますので、一般の方々や子供たちへの公開実験でも好評です。

※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。

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