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おもしろ科学実験室(工学のふしぎな世界)

低融点合金を使ってアクセサリを作ってみよう

2017年8月4日
愛媛大学 工学部

1.はじめに

 私たちの身の回りには、多くの金属材料が使用されています。それらの金属材料の多くは、数百℃以上の融点を有します。このため、日常生活で液体の金属を見る機会は少ないのではないかと思います。今回の実験では、水の沸点以下の融点を有する、つまりお湯でも液体にすることができる低融点合金(以下、合金と省略します)を使用して、アクセサリを作製します。

2.準備するもの

  • 低融点合金
    本実験では、スズ(Sn)とビスマス(Bi)とインジウム(In)の3つの元素を含む合金を用います。この合金の融点は約78℃です。
  • ホットプレート
    本実験では、合金の加熱にお湯ではなくホットプレートを用います。これは、お湯を用いると合金の温度管理が困難なためです。150℃付近まで加熱可能なホットプレートが望ましいです。
  • ビーカー
  • ガラス棒
    液体になった合金をかきまぜるための棒です。本実験ではガラス棒を用いますが、割りばしでも差し支えありません。
  • シリコンモールド
    簡単にモールドから合金を取り出すことができるため、100円ショップで販売されている製菓用のものが便利です。
  • 温度計
    100℃以上まで測定できる温度計が望ましいです。
  • 軍手
  • ピンセット
    合金をあらかじめ細かくしたほうが液体になりやすくなります。この細かくした合金を取り扱う際に、ピンセットを用います。

3.実験方法

  1. PVA溶液に気泡が入らないようにガラス板にたらし、均一に延ばす。

    ピンセットを用いて、ビーカーに低融点合金を入れます。

  2. ホットプレートのスイッチを入れて、合金の加熱を開始します。

  3. ビーカーに温度計を入れて、合金の温度を測定します。80℃付近で合金は溶融して液体になりますが、合金が完全に液体になるまで加熱します。机をたたく、ビーカーを少し揺らすなど、ビーカーに少し振動を与えることで、合金が液体か固体かを判断することができます。これ以降、ビーカーや合金に触れる際、軍手をしてやけどしないように注意してください。

    乾燥したPVAフィルムをゆっくりと引き剥がす
    剥がしたフィルムは周囲を切り取り、約5 cm角のシートにする
  4. 合金が完全に液体になったら、ガラス管でビーカー内を撹拌します。

  5. シリコンモールドをホットプレートの上に置き、シリコンモールドに液体の合金を流し込みます。

    乾燥したPVAフィルムをゆっくりと引き剥がす
    剥がしたフィルムは周囲を切り取り、約5 cm角のシートにする
  6. ホットプレートのスイッチを切り、合金が室温になるまでに冷却します。ホットプレートの上で十分冷却してください。

  7. シリコンモールドから合金を取り外して完成です。


4.おわりに

 このようにして、低融点合金を使ってかわいらしいアクセサリを作ることができました。このアクセサリの作製には、液体の金属をいろいろな方法で作った型に流し込み、それを冷やして工業製品を作る「鋳造」という技術を用いています。この方法を用いて、マンホールのふた、タイヤのホイールなどの工業製品が生産されています。

※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。

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