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おもしろ科学実験室(工学のふしぎな世界)

身近な材料をつかって鉄の性質をしらべよう

2016年8月19日
島根大学 大学院 総合理工学研究科
田中 秀和

古来から島根県奥出雲の斐伊川上流で良質の砂鉄が産出され、それを原料に製鉄が行われてきました。現在も「たたら製鉄」としてその伝統は引き継がれ、日本刀や高級包丁の原料として供給されています。たたら製鉄では、たたら炉の中で砂鉄を木炭で約1週間かけて還元し、炭素を1~1.5%含有する良質の玉鋼を得ています。

一方、近代製鉄では、ブラジルやオーストラリアなどから良質の鉄鉱石を輸入し、溶鉱炉でコークスやコークスから生成したCOと反応することで還元して鉄を生成しています。たたら製鉄も近代製鉄もいずれもコークスによる鉄酸化物の還元反応を利用して鉄を得ており、原理は全く同じです。

逆に、鉄の反応性については高校の教科書でもあまり学ぶチャンスがありませんが、鉄は本来高い反応性をもち、空気中では速やかに酸化します。鋼材表面でも鉄の酸化反応は起こり、さびが生成します。鉄の酸化反応、つまりさびの生成は非常に身近な現象なのです。

ここでは身近な材料を使って鉄の性質を調べてみましょう。

注意点
  • 実験で使用する薬品が身体や衣服に付いたときは直ぐに水で洗い流してください。
  • 実験するときは必ず防護めがねと手袋を着用してください。
  • まわりに火が燃え移るものがないか、よく確認し、火傷に注意して実験してください。

用意するもの

  • 電気炉
  • ガスバーナー
  • 試験管
  • るつぼ
  • 薬さじ
  • ピンセット
  • 磁石
  • 薬包紙
  • 鉄粉
  • シュウ酸鉄2水和物
  • 酸化鉄粒子
  • 活性炭

実験1.
「鉄粉を用いた線香花火」

  1. 薬さじ一杯の鉄粉(0.5gくらい)を薬包紙で包んで、こよりにする。

    「鉄粉を用いた線香花火」
  2. こよりの端をピンセットでつまんで、ガスバーナーで火をつける。

    「鉄粉を用いた線香花火」
    「鉄粉を用いた線香花火」

解説

鉄は酸化により大きなエネルギーが発生します。鉄粉は表面積が大きいため、高い反応性があります。 市販の線香花火は、硝酸カリウム、炭素、イオウを混合し、さらに火花の原料として鉄粉を加えて作っています。

実験2.
「鉄微粒子の調製と酸化反応」

  1. 試験管にシュウ酸鉄2水和物を 1.0 g 加える。

    「鉄微粒子の調製と酸化反応」
  2. ガスバーナーで試験管を中の物質を加熱すると黄色 から黒色になる。黒色に変化したら直ちに蓋をする。このとき試験管内に水滴が付着するが、これも加熱により取り除く。
  3. 室温まで冷却した後、机の上に敷いた水で濡らした新聞紙に黒色の物質を撒き、変化を観察する。

解説

シュウ酸鉄は加熱すると以下のように分解します。

Fe(COOH)2・2H2O→Fe(COOH)2 + 2H2O
Fe(COOH)2 →Fe + 2CO2 + H2

実験3.「酸化鉄の還元」

  1. るつぼに酸化鉄粒子 0.5 g と活性炭 0.5 g を加え、十分に混合する。

    「酸化鉄の還元」
  2. 「酸化鉄の還元」

    るつぼに蓋をして、電気炉を用い、1000°Cで 2 時間、加熱する。

  3. 室温まで冷却後、内容物を試料瓶に入れ、磁石を近づけてみる。

    「酸化鉄の還元」

解説

酸化鉄粒子を活性炭(炭素)および活性炭から発生した一酸化炭素COで還元します。
この還元反応の原理は近代製鉄およびたたら製鉄と同じです。

2C + O2 → 2CO
FeOOH+C+CO →→→ Fe+CO2 +H2O

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