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カニ殻から万能の新素材「キチンナノファイバー」

2017年4月7日
鳥取大学 工学部
図1.右)カニ殻、左)カニ殻から抽出したキチン図1.右)カニ殻、左)カニ殻から抽出したキチン
図2.カニ殻から製造したキチンナノファイバー図2.カニ殻から製造したキチンナノファイバー

 鳥取県はカニが有名で全国のおよそ半分は鳥取県で水揚げされます。特に鳥取県の西部に位置する境港はゲゲゲの鬼太郎の水木しげるロードが有名ですが、国内有数のカニの水揚げ基地として知られています。そこでは、ほぼ年間を通じて大量のカニ殻が廃棄物として発生します。

 私たちはカニ殻の主成分である「キチン」をナノファイバーという極細の繊維で抽出することに成功し、その実用化を進めています。製法はとても簡単で、カニ殻を薬品の入った釜で煮てタンパク質やカルシウムを除きます(図1)。続いて粉砕機にかけると幅が10ナノメートルの非常に細い繊維が取り出せます(図2)。10ナノは髪の毛の太さのおよそ1万分の1のサイズです。例えば1%の濃度のキチンナノファイバー分散液を1ミリリットル取り出した時、その中に含まれる繊維の長さは地球5周分に相当します。これまでキチンは水に溶けないため加工がしにくく、使い道がほとんどありませんでした。一方でキチンナノファイバーは水によく分散してジェル状になるので、他の素材と混ぜたり用途に応じていろいろと加工が出来るようになりました。

驚くべきカニ殻の能力

 カニは鋼鉄並みと言われる固いキチンナノファイバーを殻に蓄えて、外敵から身を守っています。ですから、キチンナノファイバーをプラスチックに混ぜると、透明性やしなやかさをそのままに、大幅に強度をアップできます。また、熱をかけてもほとんど変形しないので、将来は曲げられるスマートフォンやディスプレイに使えるかも知れません。

 キチンナノファイバーには様々な生理機能があることも共同研究によって分かってきました。例えば、キチンナノファイバーを服用すると、腸の炎症が緩和されたり、善玉菌が増殖したり、脂肪やコレステロールを減らせることが明らかになってきました。また、肌にナノファイバーのジェルを薄く塗布すると、表皮で保護膜ができて肌の水分の蒸散を抑えたり、肌の弾力に関わる膠原繊維(コラーゲン)を増やすことができます。さらには、農作物に撒くと免疫機能が高められて病気にかかりにくくなりますし、パンなど小麦製品に配合すると良く膨らんだり、食感を改良することもできます。平成27年には肌に対する機能を活かしてキチンナノファイバーを配合した敏感肌用化粧品が全国販売されました。

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