トップページ > なんでも探検隊 > 量子コンピューターと「分身の術」

なんでも探検隊

量子コンピューターと「分身の術」

2017年2月17日
新潟大学 工学部

量子コンピューターとは、「量子力学の原理」を用いた、 まったく新しい仕組みによるコンピューターです。

これまでのコンピューターでは数百億年以上といった莫 大な計算時間を必要とするようなある種の問題(大きな数の因数分解など)を、わずか数時間で解ける可能性があることを、1994年にShor博士によって理論的に示されています。

「量子力学の原理」には、「確率波」や状態の「重ね合わせ」といった、マクロの世界の日常生活では経験することのない概念が含まれています。

以下、図1で説明します。

古典コンピューター、量子コンピューターについて

古典コンピューターでは、迷路(与えられた問題)を、ねずみが試行錯誤しながら、ゴール(問題の解)を見つけます。実際に現在のコンピューターで、大きな数X の素因数を探すには、X÷2、X÷3、X÷5、X÷7・・・というように、順次違う素数(違う経路)を試すことによって求めます。

量子コンピューターでは、迷路の経路の分岐点で、ねずみは“分身”してそれぞれが別々の経路を試します。

最終的には、ゴールに到達したねずみの経路のみを抽出することによって正しい経路を見つけます。

この“分身”状態が、量子力学の「重ね合わせ」状態に相当します。量子コンピューターでは、「重ね合わせ」状態を利用し、超並列計算によって超高速計算を行います。

この「量子力学の原理」を用いた計算手順は、「Shorの量子計算アルゴリズム」と呼ばれています。

量子ビットと核スピン

量子ビットと核スピン

古典コンピューターでは、0と1の値のみ(2進法)を保持する「ビット」と呼ばれるものを使って、プログラムを実行したり、計算をします。 量子コンピュータを実現させるためには、0と1の「重ね合わせ」状態を保持できる「量子ビット」が必要になります。この「量子ビット」は、上述の“分身”のできるねずみに相当します。

現在、「量子ビット」の候補としては、光子の偏光、電子のエネルギー順位、電子スピンなど様々なものが考えられていますが、原子核スピンは有力な候補となっています。

その理由は、原子核スピンの「重ね合わせ」状態が比較 的長い時間保持されることにあります。水の中の水素原子核の場合、数秒程度保持されますが、固体中の電子スピンに比べると、100万倍以上長い時間になります。

この「スピン」とは、電子、陽子、中性子などの基本粒子が持つ物理量で、原子核も全体として「スピン」を持ちます。「スピン」を持つ粒子は、磁気モーメントを持つ(磁石になる)ことが分かっています。この磁気モーメントのつくる磁場を観測することによって、原子核から情報を取り出すことが出来ます。

佐々木研究室HP

http://fusion.eng.niigata-u.ac.jp
※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。

関連記事

2016-09-14

おもしろ科学実験室(工学のふしぎな世界)

身の回りのこんなものが光るの???

岡山大学環境理工学部

2012-12-17

輝く工学女子!(Tech ☆ Style)

【vol.3】行動力で自分も環境も変わります

静岡大学工学部

2017-01-27

おもしろ科学実験室(工学のふしぎな世界)

「身近な材料を利用して、リズム現象を体験してみましょう」

鹿児島大学工学部

2015-11-30

生レポート!大学教授の声

先生も飯を食う?

埼玉大学工学部

2010-02-08

生レポート!卒業生の声

モノづくりを通して感じること

広島大学工学部

2015-08-03

環境への取り組み

微生物の機能を利用した汚染浄化及びバイオプラスチック産生

室蘭工業大学工学部

新潟大学
工学部

  • 機械システム工学科
  • 電気電子工学科
  • 情報工学科
  • 福祉人間工学科
  • 化学システム工学科
  • 建設学科
  • 機能材料工学科

学校記事一覧

なんでも探検隊
バックナンバー

このサイトは、国立大学54工学系学部長会議が運営しています。
(>>会員用ページ)
私たちが考える未来/地球を救う科学技術の定義 現在、環境問題や枯渇資源問題など、さまざまな問題に直面しています。
これまでもわたしたちの生活を身近に支えてきた”工学” が、これから直面する問題を解決するために重要な役割を担っていると考えます。