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環境への取り組み

 

リカレント建築ネットワークによる環境適応型建築システム

 
東海地区 2009年10月01日
東海地区
神戸大学 工学部 建築学科 
谷・山邊研究室

●研究概要

CO2排出による地球温暖化に対処するため、様々な環境問題への取り組みが求められています。 日本の炭素排出量に占める建設関連の排出量の割合は約3分の1で、その内訳の約5割は建設資材の生産、建設に関わる運輸、建設工事です。建設分野での環境問題に対する取り組みは、極めて重要な役割を担っているのです。

建築分野では、これまでのスクラップアンドビルド(scrap and build)に対する反省から、リフォームを行ってより長く建物を利用する取り組みや、建築資材をリサイクルすることにより、廃棄物を削減する取り組みもあります。また、研究段階ですが、柱や梁などの建築部材をリユース(再使用)することにより、部材の製造時に排出されるCO2を削減する試みも行われています。部材のリユースは、リサイクルするよりも使用エネルギー量を減らすことができたり、建物の形態、規模の変更にも柔軟に対応することができるので、建築分野における環境対策として、将来が有望視されています。

しかし、部材リユースを普及させるためには、技術的にも制度的にも様々な課題が存在しています。私たちは、これを建築生産活動の全体的なシステムとして捉え、「リカレント建築ネットワーク」と名付けて様々な研究に取り組んでいます。ここで、リカレント(Recurrent)は、循環、再生などの意味を持ち、リユース可能な部材で作られた建物と、リユース部材の流通を助ける情報システム、ストックヤード(廃棄物の一次保管場所)などのインフラの整備により、『循環型社会システム』の構築を目指しています。(下記図)

循環型社会システム

●リカレント建築ネットワークによる環境適応型建築システム

建築資材の循環性を高め、省資源化、省エネルギー化に役立つリカレント建築ネットワークを実現するためには、以下に示すような解決すべき課題がありますが、私たちは主にコンピュータを用いた情報システムの手法を活用して、これらの課題の解決を目指しています。

1. 構法的な課題
 ・組み建て解体が容易な可逆接合法の開発
 ・部材の互換性を有するモジュール化
 ・リユース部材を用いた設計システム

2. リユース部材の適切な管理・運用システム
 ・部材の情報・品質管理(ヘルスモニタリング)システム
 ・リユース部材の循環を促す市場・流通システムの確立
 ・リユース部材のストックヤードの確保
 ・リユース部材を使用することへの一般消費者の理解

構法的な課題に関しては、部材を再利用するため、溶接やコンクリートに頼らない、組み建て解体が容易な接合方法を提案し、コンピュータシミュレーションにより、その安全性などを検証しています。また、保管されたリユース部材を効率よく利用するため、建物や部材の耐用年数に応じて適切な部材を選定する建築設計支援システムを開発しています。


リユース部材の適切な管理・運用システムに関しては、まず、部材の使用履歴を正確に把握することが重要となります。これにより、リユース部材の性能を的確にユーザーに示すことができ、リユース部材使用に対するユーザーの理解も得られるのではないでしょうか。

そのための方法として、私たちはRFID技術を用いたICタグ(ICOCA、SUICAなどのICカードのようなもの)を部材ごとに貼り付け、使用履歴を記録する実験を行っています。さらに、ICタグに加速度やひずみなどのセンサを取り付けることにより、部材が建物で使用されている間に発生した地震や台風などの災害に対して、部材にどの程度の被害が生じたかを把握し、今後とも使用することができるかどうかの判断材料にする研究を行っています。

また、これらの情報を集中的にデータベースで管理することにより、リユース部材を用いる建物を設計、建築する際に、膨大なストック部材の中から選択可能となり、設計の自由度が高まることも期待できます。


●今後の取り組み

ICT(情報通信技術)の発展により、生活の隅々にまでコンピュータが設置され、私たちの日常生活をサポートするユビキタスコンピューティングが実現に向かいつつあります。このユビキタス技術を建築に導入することにより、新築された時が完成形である、あるいは10年単位で大掛かりな改修工事を行うといった現在の建築生産方式から、利用形態に合わせて住空間を、日常的かつ容易に、拡張、変形することが可能なリカレント建築への転換が促進されると考えています。

●備考

これらの一連の研究のもう少し詳しい情報は,下記のサイトを参照してください。 「リカレント建築・都市研究会」URL:http://www.arch.kobe-u.ac.jp/~a2/recurrent/recurrent.html

※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。

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